クマノザクラ - 木楽Nakamura｜樹木医中村昌幸（三重県鈴鹿市）

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新種クマノザクラとの出会い

クマノザクラは森林総合研究所の勝木俊雄博士によって2018年に発表された野生の桜で、紀伊半島南部の三重県、奈良県、和歌山県の3県にのみ自生しています。
明治時代に発表されたオオシマザクラを最後に、野生の新種は出てこないだろうと思われていましたが、その常識を約100年ぶりに覆し話題となりました。
2014年から勝木博士、奥田氏（日本樹木医会三重県支部長）と共に紀伊半島の桜を調査をしていた中で、2016年にクマノザクラの発見に立ち会えたことは本当に幸運でした。
早春の頃、まだほかの植物が動き出すほんの少し前、凛とした空気の中で咲くクマノザクラには何とも言えない存在感があり、その美しさに何度見ても心奪われます。


花: 花は基本的に淡紅色と言われる薄いピンクですが、野生の桜であることから白に近いものから濃いピンクとさまざまで、花弁にグラデーションのある個体も見られます。
ヤマザクラと違い葉の展開より花が先に咲きますので、とても観賞価値が高い個体が多く存在します。


樹形: 全体の容姿は非常にしなやかで、風にたなびく枝は何とも言えない雰囲気があります。
その一番の理由が枝の細さです。‘染井吉野’と比べるとかなり繊細な枝で、半枝垂れのような個体も多く見られます。
また、大きさもヤマザクラや‘染井吉野’と比較して半分から3分の2程度で中型の桜と言ってよいでしょう。
単木での樹高はおおよそ7～8メートル程度で、幹の太りが比較的遅いことも特徴です。

開花時期

三重県では3月上旬～下旬で、ちょうど卒業式あたりに盛りを迎えます。
また、奈良県、和歌山県をふくめると2月下旬から4月上旬まで標高の違う場所で開花を楽しむことができます。

開花情報サイト

クマノザクラの生産


コンテナ苗: 観賞用、および山林用にコンテナ苗を生産しています。
増殖にあたっては勝木俊雄博士指導の下、他のサクラと交雑し難い母樹の選定から始まり、育成中にも雑種の混入がないか点検を行っています。
これは、雑種を自生地に植えてしまうとクマノザクラの繁殖に影響する可能性があるためです。
出来る限り純粋なクマノザクラを増殖することが、生産者としての責任と考え増殖に取り組んでいます。